国境お構いなし

 

国境 お構いなし

国境 お構いなし

 

  • 「他者」の経験とは、ほんとうは「主体」のアイデンティティ形成の問題であることをポストコロニアリズムは教える。マイノリティ差別は、マイノリティの側の問題ではなく、その実、マジョリティの側のアイデンティティの構成にかかわる問題である。ポストコロニアル批評のトニ・モリスンは、黒人差別は「白人性」の確立のために不可欠だったのだ、と説く。性差別も同じだ。・・・(中略)・・・「差異の政治学」は、いつも差異をつくる側の権力の行使である。このコンテクストで「日本人」を語るのは、決してローカルな「地域研究」の枠にとどまらない。(p58)

 階級社会での家事労働。
 「家庭責任の男女共同分担」という一見フェミニスト的理想は、次のような条件が揃っているところでしか現実性がない。まず第一に、相対的に階級格差が少なく家事労働者が用意に雇えないこと。第二に、家事サービスの公共化・社会化の水準が低く、そちらのほうのオプションも採用できないこと。第三に、家事労働の熟練度への要求が低く、「男・子ども」でもやれる程度の能力しか要求されないこと(p131)

 変数。
 家事をもっとも評価の低い労働と見なす考え+女性のあいだの階級格差→シルビエンタを生んでいる。